「福祉と当事者のリアル」が開講されています

2025年度後期の「福祉と当事者のリアル」が、北海道医療大学 看護福祉学部 福祉マネジメント学科主催で、9月20日(土)より開講されました。この講義シリーズは、福祉の最前線で活動する実践者を迎え、そのリアルな知見と声を学生や一般参加者に届けることを目的としており、今年度も注目を集めています。

誰もが参加できる“開かれた学び”

対象は福祉マネジメント学科の2年生ですが、他学年・他学部の学生も自由に視聴可能であり、さらに学外の一般の方にも門戸が開かれている点が大きな特長です。オンデマンド形式で配信されるため、視聴者は自分の都合のよい時間に受講でき、仕事や学業との両立も可能。柔軟性の高い設計となっています。

「ケアを哲学する」初回講義から、深い問いを投げかけられる

初回の講義では、ある社会福祉法人を率いる現場リーダーが登壇。「ケアを哲学する」というテーマのもと、福祉実践の現場で人とどう向き合い、どのように組織運営に内省を重ね、地域とともに歩んでいるか――そのリアルな実践と思索が語られました。

単に制度や施策の運用を語るのではなく、ケアとは何か、人に寄り添うとはどういうことか、といった“福祉の根源的問い”が浮かび上がってくるような内容でした。受講した学生たちからは「こんなに深い問いを日々考えながら現場に立っている人がいるとは…」といった感想も多く寄せられたそうです。

地域共生社会の現実と制度の接点を語る現役官僚の登壇

そして、今後行われる注目講義の一つとして、11月には現役の厚生労働省職員による登壇が予定されています。「地域共生社会」の構築が叫ばれて久しい中、実際にその制度がどう設計され、現場に届いているのか、あるいは届いていないのか。政策決定に関わる立場から、地域福祉の現在地と未来を語っていただける貴重な機会となります。

制度の設計者と、制度の実践者――この講座が両者の声を交差させ、共有する場になっていることは、非常に大きな意義を持ちます。

子ども支援の現場から語られる“信じる支援”

この後に続く講義の中でも特に期待が高まっているのが、10月4日から始まる「こどもの命をど真ん中に」という講義です。講師は、大阪・西成を拠点に活動する荘保 共子さん。特定非営利活動法人こどもの里の理事長であり、地域の中で最も厳しい状況にある子どもたちに寄り添い続けてきた実践者です。

荘保さんの講義では、子どもを“保護”するだけでなく、“信じる”支援とは何か、制度の隙間に落ちてしまう子どもたちに対してどのようなアプローチが可能なのか、といった視点が語られることでしょう。単なる技術論ではない、人としての向き合い方がテーマになるはずです。

「べてるの家」向谷地さんが語る、当事者主体の福祉

さらに、浦河べてるの家の理事長であり、北海道医療大学名誉教授でもある向谷地 生良さんの登壇も予定されています。言わずと知れた「弱さを絆に」を掲げる日本の福祉実践のパイオニアであり、当事者主体の福祉を掲げて30年以上にわたり独自の地域福祉モデルを築いてきた方です。

向谷地さんの語りを通じて、私たちは“支援する・される”という固定的な関係を超えた、人間関係のあり方そのものについて考えることになるでしょう。

“リアル”が問いを生み、問いが生き方を揺さぶる

この「福祉と当事者のリアル」という講義シリーズは、単なる知識伝達の場ではありません。そこには、制度の内側・外側、当事者・支援者、行政・市民など、さまざまな立場の人々の声が集い、交錯します。そしてその一つひとつが、「自分ならどう考えるか?」「私は誰の声に耳を傾けるか?」という“問い”を生み出します。

その問いこそが、福祉を学ぶ人間にとって最大の“財産”であり、ひいては自分の生き方そのものを揺さぶる可能性を持つのです。

まだ間に合います。秋の学びへどうぞ

この後も魅力的な講義が続きます。まだ申し込みをされていない方は、下記のフォームからぜひご登録ください(前期からご登録済みの方は、再登録の必要はありません):

秋の夜長に、リアルな“福祉”にふれてみませんか?


 

関連記事

  1. 2023年度「子どもの貧困」支援活動への応援助成が始まります

  2. サマーセミナー「困難を抱える若者への住まいの支援」が開催されます

  3. 優生保護法訴訟と生活保護基準引下げ訴訟の原告団・弁護団による共同シンポ…

  4. 赤ちゃんポスト支援のクラウドファンディング開始のお知らせ

  5. シンポジウム「健康で文化的な生活ってなに?~こんなに違う、日本とドイツ…

  6. 【賛同団体募集】改めて生活保護基準の大幅増額を求める要望書(案)

最近の記事