生活保護と保証会社の審査【第3回】— ケースワーカーによる審査と住宅扶助の規定

こんにちは!今回は、生活保護受給者が賃貸契約を結ぶ際に必要なケースワーカーによる審査について解説します。保証会社やオーナーの審査を通過した後、最終的に福祉事務所(ケースワーカー)の審査を受ける必要があります。この審査では、受給者本人ではなく「物件そのもの」が対象となる点が特徴です。

また、住宅扶助の規定についても詳しく説明しますので、生活保護受給者がスムーズに引っ越しを進められるよう、ぜひ参考にしてください。
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ケースワーカーによる物件の審査とは?

ケースワーカーの審査は、生活保護受給者が「住宅扶助の規定に適合した物件に入居するかどうか」を確認するものです。そのため、受給者の収入や支払い能力ではなく、物件自体の条件が審査の対象になります。

主に以下のポイントがチェックされます。

住宅扶助の規定内の家賃であるか
広さや間取りが生活保護の基準に適合しているか
契約に虚偽の申請がないか

これらの基準に適合しない場合、ケースワーカーの審査に通らず、物件の契約が認められないことがあります。そのため、物件を選ぶ際には、住宅扶助の上限額や広さの基準をしっかり確認することが大切です。


ケースワーカーへの事前相談が必須

生活保護受給者が引っ越しをする場合、必ず事前にケースワーカーへ相談する必要があります。勝手に引っ越してしまうと、生活保護が停止されるリスクがあるため注意が必要です。

なぜ事前相談が必要なのか?

  1. ケースワーカーは受給者の住所や連絡先を管理する義務がある
    → 転居先が適切であるかどうかを確認するため
  2. 住宅扶助の適用条件を満たしているかを審査するため
    → 上限を超える家賃の物件に住むことはできない
  3. 転居にかかる費用(敷金・礼金など)の支給可否を判断するため
    → 負担できる初期費用に限度がある

住宅扶助の規定について

住宅扶助とは、生活保護受給者が住居を確保するために支給される家賃補助のことです。地域や家族構成によって上限金額が異なり、これを超える物件には原則入居できません

単身者の住宅扶助上限(札幌市の場合)

㎡数(広さ)住宅扶助の上限額
16㎡以上36,000円
11㎡~15㎡32,000円
7㎡~10㎡29,000円
6㎡以下25,000円

単身者向けの賃貸物件でも、部屋の広さによって住宅扶助の上限が異なります。そのため、「単身だから36,000円までOK」と思い込んでしまうと、狭めのワンルーム物件で審査に通らない可能性があります。

家族世帯の住宅扶助上限

世帯人数住宅扶助の上限額
2人世帯43,000円
3~5人世帯46,000円
6人世帯50,000円
7人世帯56,000円

3~5人世帯では同じ上限額(46,000円)となるため、5人世帯の方は適した物件を見つけるのが特に大変です。なるべく住宅扶助の上限額に合う物件を探すことが重要になります。


ケースワーカー審査をスムーズに通過するためのポイント

ケースワーカーの審査に通過するためには、以下の点を意識するとスムーズに進めることができます。

引っ越し前にケースワーカーへ相談する
住宅扶助の上限金額をしっかり確認する
物件の広さにも注意し、扶助の範囲内か確認する
契約に関する虚偽の申請をしない
審査に時間がかかるため、余裕を持って準備する


審査に時間がかかる点に注意

ケースワーカーの審査が通るまでには一定の時間がかかります。特に、契約にかかる初期費用(敷金・礼金など)が福祉事務所から支給される場合は、支払いまでの手続きに時間を要するため、計画的に進めることが大切です。

注意点

  • 福祉事務所の手続きは土日祝は休み
    → 書類の確認や支給決定まで時間がかかる
  • 審査後に実際の支払い手続きが行われるため、即入居はできない
    → 週をまたぐとさらに時間がかかる

引っ越しを考える際は、余裕を持って計画を立てることが重要です。


まとめ

今回のブログでは、ケースワーカーによる物件審査と住宅扶助の規定について解説しました。**保証会社やオーナー審査と異なり、ケースワーカー審査は「受給者ではなく物件そのものが審査対象」**となる点が特徴です。

事前にケースワーカーへ相談することが必須
住宅扶助の上限額を超える物件には住めない
契約に必要な初期費用の支給には時間がかかるため、余裕を持った計画を

生活保護受給者がスムーズに引っ越しをするためには、保証会社、オーナー、ケースワーカーの3つの審査を理解し、準備を進めることが重要です。

今回で「生活保護と保証会社の審査」シリーズは完結です。この記事が生活保護受給者の賃貸契約の手助けになれば幸いです。今後も役立つ情報をお届けしていきますので、ぜひチェックしてください!


 

 

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