スタッフおすすめの書籍『わたし生活保護を受けられますか』

スタッフおすすめの書籍

今回は、三木ひとみさんの著書『わたし生活保護を受けられますか』をご紹介します。

著者である三木ひとみさんは行政書士です。行政書士とは、官公署への提出書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続などを行う法律の専門家(国家資格)です。生活保護の申請も行政書士業務の一つであり、著者はこれまで10000件以上の申請に携わってきました。

本書は、生活保護制度について詳しく解説しています。生活保護は、今現在生活に困窮している人に対して、憲法25条に規定する最低限度の生活を国家が保障する制度です。この本では、困窮について「1日3食を取る生活が送れていない」状態とシンプルに定義されています。生活保護は生存権を保障する大切な制度である反面、申請に関する手続きは複雑で、自分で申請するのは難しいと感じる人も多いでしょう。

そんな方には、この本がおすすめです。三木さんは、自身も過去に生活に困窮した経験があり、その経験を生かして、生活保護に関する疑問や不安に寄り添いながら解説しています。生活保護制度や手続きの詳細に加え、生活保護受給者の事例や、利用者からの手紙など、具体的な情報も豊富に掲載されています。

本書の一番の特徴は、徹底的にわかりやすく書かれている点だと思います。
わかりやすいということは、今まさに困窮していて、多くのことを調べる余裕がない方の立場に立って書かれているということだと思います。
生活保護について、「必要なことを今知りたい」と思っている方にとって、非常に参考になる一冊です。

生活保護に関する差別・偏見はいまだに根強いです。そのため保護申請にあたっては申請者のプライバシーが保たれることが重要です。生活保護においては「扶養照会」という制度があり、親族に生活保護を申請中であることが知らされます。親族に困窮の事実を知られたくない方にとって、扶養照会は最大の障壁となっています。一般的に扶養照会は拒否できないと誤解されがちです。著者は、本書で扶養照会に関する「正しい」情報を事例とともに詳しく解説しており、安心して申請手続きを進めることができるように配慮されています。扶養照会の他にも、生活保護に関する誤解されがちなポイントについて、法律の専門家の立場から、分かりやすく解説しています。

本書は、生活保護制度について知りたい方や、今後申請することを考えている方にとって、非常に参考になる一冊だと思います。また、三木さんの行政書士になる以前に歩んできた半生、生活保護に力を入れた事務所を設立するに至った経緯など、感動のエピソードも書かれています。

全ての生活保護を必要としている人々が、この本を通じて正しく有益な情報を得られることを願っています。


 

 

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