生活保護を受けながら生命保険に加入できるか その②

生活保護を受けながら生命保険に加入することは原則できません。しかし、一定の条件を満たした場合、例外的に加入が認められる場合があります。今回はどのような条件で、どのような生命保険なら加入が認められるのか、詳しく解説していきます。


 

 

加入できる生命保険の条件

生活保護を受けている方が生命保険に加入する場合、一定の条件が必要です。その条件とは、保険が危険対策を目的としていること、毎月の保険料が低額であること、そして解約返戻金が低額であることです。

例えば、終身保険や養老保険のように貯蓄性が高い保険には加入することができません。これらの保険は保険料が高額であり、また解約した場合に返戻金が大きくなる可能性があるためです。一方で、掛け捨て型の保険、例えば定期保険のようなものは加入できる可能があります。これらの保険は、保険料が低額であり、解約や満期になった場合の返戻金が存在しないことから、生活保護受給者でも加入できる余地があります。

ただし、毎月の保険料については低額であることが求められます。具体的な金額は各自治体やケースワーカーの判断によりますが、その地域の一般世帯との均衡が重要となります。また、解約返戻金も、その総額が30万円を下回るか、「医療扶助を除く最低生活費の3ヶ月分以下」であることが一つの指標とされます。


 

 

生命保険解約のデメリット

生活保護を受けるために生命保険を解約する際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。例えば、再加入時の年齢により保険料が上がる可能性があります。また、健康告知の内容によっては、再加入が難しくなることもあります。


 

解約返戻金を受け取るときの注意点

生活保護の受給中に保険金や解約返戻金を受け取る場合、必ず福祉事務所のケースワーカーへ申告する必要があります。なぜなら、これらの受け取りがあった場合、その分は生活費に充てることが可能と判断され、その金額に相当する生活保護の給付金の返還が必要となるからです。また、これを申告しないと「不正受給」に該当し、罰則が科される可能性があります。

保険金の受け取りを拒否して生活保護を受け続けることは困難です。解約返戻金や保険金の受け取りを辞退したとしても、保険に加入した事実は残ります。そして、その額によっては解約を求められ、発生した返戻金は収入とみなされます。このため、生活保護費が減らされるからという理由で保険金や返戻金を受け取らない対応をすると、生活保護の不正受給と認識され、生活保護の停止や、最悪の場合は廃止の処分を受ける可能性があります。


 

 

名義変更ができる場合も

一方、生活保護の受給中でも、名義変更によって保険を継続できるケースも存在します。例えば、一時的に生活保護を受ける療養中の人が保険の契約者を同一世帯ではない祖父母などに変更することで保険を継続できることもあります。ただし、これもケースワーカーの判断によりますので、手続き前に必ず相談するようにしましょう。


このように、生活保護受給者が生命保険に加入する際には、いくつかの制約と注意点があります。それらを理解し、適切に対応することが大切です。そして、何よりも重要なことは、すべての手続きをケースワーカーと相談しながら進めることです。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。それではまた!


 

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