“生活保護取消し鈴鹿市の処分違法”車の利用目的を通院に限定

ご案内をいただきましたので転載します。


通院のために自動車保有を容認された障害のある親子が、車の日常生活利用を禁じられ、運航記録を提出しなかったことを理由に保護を停止されたケースで、津地裁が、本日、処分の取消しだけでなく国家賠償まで認める判決を言い渡しました。停止処分の執行停止で保護費が遡って支払われても精神的苦痛は慰謝されないという理由です。

厚労省は、通院のために保有を認めた自動車の日常生活利用を禁じる、イジメのような通知を直ちに撤回すべきです。一人当たり5万円の慰謝料に、通常は損害の1割とされる弁護士費用も5万円というのは弁護団へのご褒美でしょうか?
ちなみに、弁護団は、現地三重の芦葉、馬場弁護士に、仙台の太田弁護士と私が応援に入っています。全員「いのちのとりで裁判」の弁護団員でもあるため、旗出しの旗は「いのちのとりで裁判」で全国をリレーされている旗が活用されています。


“生活保護取消し鈴鹿市の処分違法”車の利用目的を通院に限定
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20240321/3070012497.html

三重県鈴鹿市に住む障害がある親子が、車の利用目的を通院に限定され、車の運転記録を提出しなかったことなどを理由に生活保護を止めた市の処分は違法だとして、処分の取り消しなどを求めた裁判で、津地方裁判所は、訴えを認め、市の処分を取り消す判決を言い渡しました。生活保護を受給していた、ともに障害がある鈴鹿市の81歳の女性と56歳の男性の親子は、車を所有する条件について、利用目的を通院に限定され、指示されていた車
の運転記録を提出しなかったことなどを理由に生活保護を停止した市の処分は違法だとして、おととし10月、処分の取り消しと損害賠償を求めて津地方裁判所に訴えを起こしていました。
21日の判決で津地方裁判所の竹内浩史裁判長は、「親子は通院だけでなく買い物などに車を利用するという指示への違反はあったが、日常生活に不可欠な範囲で利用することは自立した生活を送ることに資するもので、違反の程度は軽微だ。生活保護を停止すれば、医療費などの支出が困難になることは容易に想像でき、生命の危険も生じうる。親子が被る不利益は甚大で、処分は違法だ」と指摘しました。そのうえで、生活保護を停止する市の処分を取り消し、親子それぞれに10万円を賠償するよう命じる判決を言い渡しました。

《弁護団 “評価の高い司法判断”》

判決のあと、原告の弁護団は記者会見を開き、原告の女性(81)は、「裁判長が『おかしい』と言って訴えを認めてくれたのはすごくうれしいことだ。早く帰って、病室にいる息子に結果を伝えたい」と話していました。また、芦葉甫弁護士は「裁判所の判断は非常に高い評価をしてよいと思う。司法判断が出て、ほっとしているというよりも、これからだと思っている。判決がきちんと機能するよう、厚労省などに働きかけをしていきたい」と話していました。

《鈴鹿の末松市長 “主張認められず残念な結果”》

判決を受けて鈴鹿市の末松則子市長は、「この判決で原告訴訟人の請求が認められ、本市の主張が認められなかったことは残念な結果であると考えております。今後について、上級省庁、代理人弁護士と協議を行い、判決の内容を精査したうえで対応してまいります」とコメントしました。


運転記録要求は「過剰の疑い」 津地裁、生活保護の停止取り消す判決
https://www.asahi.com/articles/ASS3P2V8XS3PONFB00FM.html

生活保護の支給を巡り、車の利用状況の記録提出を求める行政指導に従わなかったために支給を止めたのは違法だとして、三重県鈴鹿市内の受給者の親子2人が停止処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決が21日、津地裁であった。竹内浩史裁判長は市の処分について「日常生活だけではなく、生命の危険も生じ得る」と述べ、処分を取り消し、国家賠償法上の違法性も認めて計20万円を支払うよう市に命じた。
判決は、問題とされた記録提出について「過剰の疑いがある」と指摘。車を日常生活の範囲で利用することは自立を促すものだとした上で、市が認めた通院目的以外の買い物などに車を使うといった原告側の違反の程度は「軽微だった」と判断。それにもかかわらず、停止処分を出したのは「相当性を欠き、違法だ」と述べた。
原告の女性(81)は膀胱がんを患って長い距離を歩けず、次男(56)は脳からのホルモン分泌が低下する難病を抱えている。市は「次男の通院」に限って自動車利用を認めていたが、判決はこの制限を「合理性があるとは言いがたい」と批判。運転経路や用件などの正確な記録を求めることも、「利用目的を確認するのであれば、より単純に確認すれば足りる」として、市の手法に疑問を投げかけた。
判決は、市の停止処分の判断過程も厳しく批判した。原告らの生活の困窮ぶりや病状の実情を十分把握して慎重な判断をするべきだったのに、記録を出させるという「硬直的な運用」をしたと判断。その上で市側は処分の採否について十分な検討を行わずに「漫然と処分をしたと評価せざるを得ず、過失があった」と断じて、市に賠償責任があると結論づけた。
女性は次男との2人暮らしで2019年10月に生活保護を受け始めた。鈴鹿市は21年7月に次男の通院に限って車の保有と利用を認める一方、その要件として、車の運転経路や用件、同乗者の氏名などの記録を出すよう繰り返し指導。女性らが従わなかったため22年9月に生活保護を取り消した。
女性らはこの処分に反発。同年10月に運転記録の提出は憲法が保障する「移動の自
由」に反するなどとして、市を相手取り、処分取り消しと110万円の損害賠償を求め
る訴えを起こしていた。(山本知弘、高橋俊成)


 

 

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