家賃滞納した借主の家財を、一方的に処分することはできるか?

家賃を滞納してしまった場合、借主の家財を一方的に処分することはできるのでしょうか?
このような規定を載せていた家賃保証会社の契約条項について、適法性が争われています。

この裁判では、住居を借りるときに家賃保証会社を結ぶ契約条項が、消費者契約法に違反するかどうかが争われています。消費者契約法は消費者の利益の保護について定められています。

この家賃保証会社の規定では、下記の4つの要件を満たせば借主が物件を明け渡したとみなし、一方的に家財を搬出して処分できるとしています。

(4つの要件)

  1. 家賃を2ヶ月以上滞納している
  2. 借主と連絡が取れない
  3. 電気や水道などの状況から建物を相当期間使用していない
  4. 客観的にみて再び住む意思がない

この事件の原告はNPO法人「消費者支援機構関西」で、被告は家賃保証会社「フォーシーズ」です。
原告側は「4要件は建物明け渡しの強制執行などの運用に反し、条項は居住権と適正手続の保障という2つの重要な権利を侵害している」「借主の権利を侵害する実力行使は消費者契約法に反する」と主張しています。
一方被告側は「4要件を満たせば借主に明け渡す意思があると合理的に推認できるので追い出しには当たらない」「円滑な明け渡しが実現できなければコストは借主が負わざるを得ない」と主張しています。


 

 

この裁判はすでに一、二審の判決は出ており、今年の12月12日に上告審判決(最高裁判所の判断)が言い渡される予定です。

一、二審での判断は割れています。
一審では「賃貸借契約が終了していない段階で勝手に荷物を持ち出すのは不法行為に当たる」と認定し、消費者契約法の禁止事項に該当するとの判断がされました(大阪地裁)。家賃保証会社の契約条項の使用差し止めが命じられました。

二審では4要件を満たす状況では借主がすでに住居として使用する意思を失っている可能性が高く「占有権は消滅している」と指摘されました(大阪高裁)。家財処分による借主の不利益は限定的で、消費者契約法にも反しないとして地裁判決を取り消しました。

最高裁がどのような判断を下すのか、引き続き注目していきたいと思います。


 

 

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