ネットカフェからアパートへ
このアンケートは2022年9月11日に実施しました。お客様に紙のアンケート用紙に記載いただいた後、インタビューで内容を補足しています。
お部屋を借りる前のあなたの状況について教えてください
少し言いにくい話なんですが、部屋を借りる前、僕は刑務所に入っていました。出所後に福祉事務所に生活保護の申請に行き、そこから3年間ほどネットカフェで生活をしていました。
スタッフ:生活保護の申請は一人で問題なく行けたんですか?
刑務所の中で同じ受刑者の方が生活保護申請のルールブックを持っていて、その人に見せてもらいながら勉強していました。
水際作戦がこわかったですが、生活保護自体は問題なく申請できました。
お仕事をするよりは生活保護を受けることを決めていた感じですか?
私の場合、病気で通院の必要もあって、すぐに働くという選択肢は考えていませんでした。まずは生活を安定させることの方が優先かなと思っていました。
生活保護を受けた後、ネットカフェで暮らすことになったんですか?
担当のケースワーカーからは更生施設という寮で暮らすように言われました。私は寮で生活することが嫌だったんです。
どうして嫌だったんですか?
集団生活が嫌でした。元々対人関係に苦手意識があり、中にはちょっと変な人もいると聞いていて、トラブルにならないか心配でした。
あとは色々規則もあって大変そうでした。
例えばどういう規則があるんですか?
寮には門限があって、19時には帰らないといけないんです。掃除や食事の時間も決められていて、全部を守れるかどうか不安でした。
更生施設なので、生活リズムや規則を守る練習の意味もありそうですね。
そうだと思います。もちろんそのような訓練が必要な人がいるのは理解しています。自分がわがままを言っているのかなとも思いましたが、私にはどうしても抵抗がありました。
当時は個室ではない寮もたくさんあって、そこも不安の一つでした。
寮での生活を断ったら、ネットカフェで暮らすようになったのですか?
生活保護自体は受理されていたので、一時的にネットカフェでの保護が始まって、そこからずるずると3年が経ってしまった感じです。
3年間ネットカフェで生活するのは大変じゃなかったですか?
僕はけっこう好きでした(笑)
みんな大変だったねと言ってくれるけど、実際はまあまあ快適だったんです。最近のネットカフェは部屋もきれいだし、カレーも食べ放題だし(笑)
その後、アパートで一人暮らしをすることになったのですね
僕の場合、病気のことなど本当に色々な事情があって、一人暮らしまで時間がかかってしまいました。
福祉の方がさすがにこのままではまずいと動いてくれて、一人暮らしができるようになりました。
お部屋を借りる際に不安だったことは何かありますか?
まず僕の場合、ケータイが止まっていました。服役中、ずっとケータイ代を支払っていなかったので、1年以上の滞納でした。
未納分を払うお金はないし、未納分を払わないと他社との契約もできない状態でした。スマホは持っていたので、Wi-Fiがあるところで使うことはできました。
スタッフ:ケータイがないと、お部屋の契約は難しいですよね。
そこがすごく不安な点でした。最終的には、「福祉のお部屋」に紹介された会社で新しくスマホの契約をすることができて、すごく助かりました。
次に通帳もキャッシュカードも失くしていたので、「福祉のお部屋」のスタッフさんと一緒に再発行の手続きをしました。
身分証は持っていたんですか?
住基カードを持っていました。親元で暮らしていた時の住所が載っていました。これがなかったらネットカフェも利用できなかったと思います。
あと僕は、クレジットカードに事故歴があって、そこも心配な点でした。連帯保証人になってくれる人もいませんでした。
はじめに不安な点をとにかく全て言うことができて、こんなに聞いてくれるんだと、それが安心感につながりました。普通の不動産屋なら断られてしまうことも、伝えることができました。結果、無事に審査も通過できたので本当によかったです。
あなたのお部屋の気に入っているところを教えてください
正直、生活保護で案内されるお部屋はせまくて汚れているのかなと思ったけど、想像以上に広かったです。
築年数は古いけど、中はしっかりとリフォームされているお部屋でした。壁は真っ白でフローリングもとてもきれいでした。
あと収納スペースがたくさんあるところも気に入ってます。玄関に大きな下駄箱があって、僕の場合そこを収納スペースにしています。あとは大きなクローゼットがあるのと、キッチンにも収納スペースがあります。
ネットカフェの時は紙袋とダッフルバッグ一つ分の荷物しか持てなかったので、収納には満足しています。
通院先から近いところもとても気に入ってます。通院しているクリニックは保護を受けているY区とは別のZ区にあって、保護のルール上はZ区でアパートを借りることは難しいんです。
福祉のお部屋に間に入ってもらい、クリニックから近いZ区で契約することができました。
スタッフ:保護の実施地区とは別の地区でアパートを契約する場合、きちんとした理由(このケースの場合主治医の意見書など)と、福祉事務所の移管の手続きが必要になりますね。
最初からZ区での一人暮らしはあきらめていたので、相談してそのような方法があると知れてよかったです。
お部屋を借りた後、あなたの生活はどのように変わりましたか?
まず、一番大きな変化は自炊をするようになったことです。ネットカフェでは自炊はできませんから、コンビニ弁当を買ったり、サービスのカレーやソフトクリームの食べ放題を利用してました。
カレーはおいしくてかなり気に入ってましたが、やはり自炊がいいですね。自炊の方が安いし、野菜も取れるのでバランスがいいです。
スタッフ:たまにカレーが恋しくなることもありますか?
はい(笑)正直あります。
今でもたまにネットカフェは利用しています。その時は、食べていますね。
ちなみに得意料理はなんですか?
チャーハンです。あとはやきそば、オムライスなんかも。一通りなんでも作れますね。
ネットカフェも気に入っていたようですが、やはり自分のお部屋があるのはいいですか?
自分の部屋はやはりいいです。ネカフェと違ってプライバシーがあるし、静かで落ち着くし、人も呼べます。
お部屋を借りたあと、何度か自分の部屋に友人を呼びました。
あまり激しくはやらないけど。たまに趣味のダンスや筋トレもしています。ちなみに苦情が来たことは一度もないです。
本日はアンケートにお答えいただきどうもありがとうございました。
このアンケートは2022年9月11日に実施しました。お客様に紙のアンケート用紙に記載いただいた後、インタビューで内容を補足しています